97/11/15作成
98/01/07更新

おわりに
EPILOG
緑の風に吹かれて


アイルランドでもイングランドでも、吹く風は緑色のような気がした。ときには「はちみつ色」のこともあったけれども。

イギリスはともかく、アイルランド旅行はまだ珍しいようだ。旅の途中でも「なぜアイルランドへ?」と聞かれたが、わたしの中に確たる動機・目的があったわけではない。アイルランドは音楽・映画等も含めて今ひそかなブームだというが、わたしは音楽はエンヤやU2ぐらいしか知らなかった。あとは民俗音楽全集に入っているのをちょっと聞いたことがあっただけ。ジェームス・ジョイスも読んでいない。それでも、なんとなく行きたかったから行ってしまった。

考えてみれば、ファンタジーをよく読んでいた頃から、ケルト的なものへの憧れはどこかにあった。トールキンの『指輪物語』の華麗な言語は、ゲール語をモデルにしていたと聞くし、『修道士カドフェル』シリーズにでてくるウェールズ、映画『ブレイブ・ハート』のスコットランド、今思えば、あれらはケルト的なものだった。ル=グウィンの『ゲド戦記』にも、同じ匂いを感じる。わたしにとって、ケルト的なものは心の中のロマンチックな部分をかきたてる何かを持っている。

もう一度緑の風に吹かれて、そういうものを感じてみたい。

ひめまるの『のらくら旅』(おろおろ旅?)お楽しみいただけましたでしょうか。「貧乏旅行にはちょっとトシ」とか最初に言っておきながら、結果は充分貧乏旅行だったかも。

「ひとりで2週間外国を旅行してきた」と言うと、「すごい!わたしにはできない」とおっしゃるかたがあります。でも、わたしの旅のスキルは決して上級ではありません。英語もろくにしゃべれないし(文中ではさも上手にしゃべっているようになっていますが、実際はそんなこと絶対ありません)、社交性・積極性・大胆さもどちらかと言えばないほうです。

お読みになっておわかりの通り、最初から最後まで失敗の連続でしたが、「ええかっこ」しても始まらないので、非常に無駄の多い移動方法や、ろくな晩ごはんを食べていないことなども包み隠さずここで書いてしまいました。

そんなわたしでも、パック旅行では味わえなかっただろう風景や経験を楽しむことができたし、ちょっぴり自信もつきました。「やればできる」という言葉は根性主義みたいで好きではありませんが、「やりたければ、少しはできる」ものだと知りました。

いつかまた、ドキドキしながら別のたび日記を書いてみたいと思っています。

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