97/10/30作成
98/01/07更新

ダブリン
DUBLIN
大都会は眠らない

▼ダブリンに到着
▼再び迷子に
▼ケルズの書
▼パブ巡り、そして


■ダブリンに到着■ ▲TOP▲ ▼NEXT▼

8月8日 金曜日続き
ダブリンへ向かう途中、ツール・ド・アイルランド(?)に巻き込まれ、選手達が通りすぎるまで長距離バスはしばらく停車。わたしはツール・ド・フランスぐらいしか知らなかったが、ヨーロッパでは各国でこのような自転車ロードレースが行われ、有名選手達はこれらを転戦するのだそうだ。
昼食はチョコクッキー一枚。

14:00過ぎ、予定より少し遅れてダブリンのバスセンター(Busaras)に到着。すぐインフォメーションセンターを目指す。ツーリストインフォメーションの看板はでているのだが、方向がさっぱりわからず、なかなかたどり着けなかった。
ようやく着いたインフォメーションセンターは大きくて、一見教会のようなきれいな建物。二階にはカフェもある。内部はものすごい数の人であふれている。ここの番号札は、インフォメーションのみの人用と、予約サービスも必要な人用に分かれている。とりあえず予約用の番号を引いたが、なんと、40人待ち。ぐったりするが、他に手だてもないのでベンチで待っていたら、場内係のお兄ちゃんが寄ってきて、落ちていたもっと早い番号の札と替えてくれた。ありがたや。
それでも30分ほど待って、やっと相談。今日は金曜日なので近場では予約が取りにくいと言われ、結局2日ずつに分けて泊まることにする。最初の宿はバスで市の中心から30分かかるところ、後の宿はダブリンの中心部でここから10分ぐらいである。

外へ出ると晴れていた。インフォメーションで教えてもらったとおり、セント・スティーブンス・グリーン前のバス停へ行く。市中心部の混雑緩和のためだろうか、インフォメーションセンター前から乗るより、少し離れた方がバス代が安いのだそうだ。バスに乗る前に、ロンドン行きの飛行機の予約再確認をしようと近くのエアリンガスのオフィスに立ち寄る。このチケットは予約再確認はいりませんよ、といわれたが、念のためチェックしてくれて、チェックインの時刻も教えてくれた。

■再び迷子に■ ▲TOP▲ ▼NEXT▼

いよいよ指示されたバスがやって来た。今度降りる所はSandyford Villageというところ。予約票には「the statue before Sandyford Village」で降りるように書かれていたのだが、statueをわたしは見落としていた。運転手に「えーと、えーと、さんでぃふぉーど…」と言いかけると、「OK、OK!」と言ってくれたので、今度は大丈夫そうだと安心して乗り込んだ。バスはとっとと走っていき、なにやら山の中に入っていき、またまた新興住宅地のようなところへやって来た。運転手が手招きし、「ほら、ここだよ」というので、礼を言って降りた。しかし、目印になるはずのパブが見当たらない。荷物を引っ張ってうろうろしてみたが、やはりわからない。バス停に戻ってそのあたりをよく見ると、石に地名が彫ってあった。「Sandyford Hall」。時刻は17:00になろうとしている。

これではゴールウェイの二の舞だ。あたりは誰も通らないし、仕方ないので市内の方へ戻るバスを待つことにする。10分ほど待ってやって来たバスの運転手はさっきと同じ人。間違えたといったらタダにしてくれた。でも、次に言われるまま降りたところで再び道がわからなくなってしまった。髪を振り乱し、汗だくになっているわたしを学校帰りのこどもたちがじろじろ見ていく。今度もまた時間ぎれだ。やっとのことで電話ボックスを見つけてB&Bに電話したら、ミセスがBMWにのって迎えに来てくれた。感謝感激である。

B&Bの廊下 ミセスは親切で、恐縮するわたしに、「日本人はほら、うちにはこれだけ泊まっているのよ」と宿帳を見せてくれたが、三人のうち一人は韓国の人だった。確かに漢字でサインしてあったけど。
今度の宿は、郊外の住宅街という点ではゴールウェイと変わらないのだが、やや高級住宅街という感じ。部屋はかわいいしTVも湯沸かしセットもついている。高台にあるので眺めもいい。クッキーと一緒に「今日は暑いから」と小さな卓上扇風機を持ってきてくれた。普段は涼しくてこのようなものは必要ないのだそうだ。これがまたスイッチをいれたらそのままプロペラで飛んで行きそうな代物である。必要ないものは発達しない、進化論(誰の?)の法則通りだ。

用心して街角のサンドイッチ屋でサンドイッチを仕入れていたので、夕食はオレンジジュースとこれ。とにかく暑い。30度以上ある。とにかく移動だけで今日も丸一日つぶれてしまった。ちょっと考え直さなければならない。

■ケルズの書■ ▲TOP▲ ▼NEXT▼

8月9日 土曜日
ゆうべは早めに寝たので5:00頃には目が覚めてしまい、結局6:00前に起き出す。朝のうちは曇っていたが、日が昇るにつれて今日も晴れてきた。朝食はご主人が作ってくれる。ここのジュースはフレッシュなのでうれしくなってしまう。ダイニングは銀食器や巨大な中国の壺などが飾られ、居間もフラワープリントのファブリックが掛けられて、ちょっとしたビクトリア・スタイルである。やはり多色使いがうまい。大きなベンジーのような白い犬がキッチンをうろついているので呼ぶと、うれしそうに寄ってきた。隣の家の犬で名前はサンディだという。鎖に繋がれず、隣家に自由に出入りできるなんて、犬も幸せそうだ。

ダブリンでの目的は市内観光の他に、近郊の遺跡めぐり。日曜日は市内のバスがあまりないので、今日は有名な遺跡グレンダロッホに行こうと決め、バスでシティセンターに向かう。ダブリンのバスは、最初に目的地を言ってお金を払う方式。二階建てで、二階には屋根はない。景色はよく見えるし気分はいいが、すこし揺れが激しいのでずっと乗ると酔いそうだ。(注:よく思い返してみたら、路線バスには屋根はあったような気がしてきました。訂正します。11/12)

バスステーションでバスエーランのツアーを申し込んだら、今日のグレンダロッホ行きはいっぱい、月曜もいっぱいだという。仕方ないので月曜日はニューグレンジ行きのツアーを申込み、日曜は別会社グレイラインのツアーでグレンダロッホへ行くことにする。しかし、日曜日は今の宿をチェックアウトして次の宿へ移らなければならない。ということは、大きな荷物を持ったままツアーに参加しなければならないのか?また、朝、市内に出るのに10:00すぎまでバスの便がないので、タクシーを呼ばなければならないのか?などなど考えるともう憂鬱になる。あぁ、肝が小さいぞ。

街角でバグパイプ ともかく予定変更で、ダブリン市内を観光。まず、なんといってもケルズの書である。街の真ん中にあるトリニティ・カレッジという古い大学に直行する。ケルズの書は7世紀に作られた福音書の写本なのだが、見事な装飾文様で飾られ、それは美しいものである。美術史のテキストに載っていたのを見て以来、是非とも実物をこの目で観てみたいと思っていた。
大学の図書館前には、長い行列ができていた。しばらく待って入館料を払って中に入ると、内部にはケルト文化とキリスト教文化の出会いによって生まれた芸術の数々が、詳しい解説とともに展示されていた。残念ながら日本語の表示はなく、英語力のなさに悔しい思い。
一段上がった奥まったところに本物のケルズの書とダローの書がガラスケースに入って陳列されていた。イタリア人の団体さんのでっかい身体に挟まれながら、穴が開くほど観た。ため息がでた。

観終わってストアを物色していたら、アラン諸島で一緒だったKさんに再会。聞けば明日バスエーランのツアーでグレンダロッホに行くという。えー?満席じゃなかったの?でもよく思い返すと、わたしは土曜日と月曜日のことしか聞かなかったのだ。またもや失敗だ。グレイラインのツアーは少し高いのだ。それにバスエーランのツアーに2つ以上参加するとディスカウントがあったのに。そう考えると少し悔しい。運が良ければまた会うかもね、といって別れた。

その後博物館へ行って、国宝である「タラ・ブローチ」を観る。たしかに素晴らしいものだった。その他、バイキングの展示なども興味深い。博物館の一角にはアイルランド独立戦争に関する展示があった。アイルランドの歴史もあまり勉強せずに来たわたしは、「立て、アイリッシュの男女」(うろおぼえ)で始まる独立宣言(?)の前で少し反省した。

明日は日曜なのでほとんどの店は閉まってしまう。今のうちに買い物をすませようとデパートなどを見てまわったが、あまりめぼしいようなものはなし。クリスタルは無事に持って帰る自信がない。普段から通信販売が好きなので、ショッピングでいいものを見つけ出す嗅覚が鈍ってしまったのかもしれない。昼食がまだだったので、15:00過ぎ頃Clery'sのルーフトップで食事。まずかった。『地球の歩き方』にはおいしいって書いてあったけど…メニューの選択を誤ったか。

■パブ巡り、そして■ ▲TOP▲

せっかくダブリンに来ているので、パブに入らない手はないが、一人なのでどうしても気が引ける。そこでミュージカル・パブ・クロウルに参加。集合場所になっているパブに行き、参加料を払うと、プロのミュージシャンが引率してくれ、あちこちのパブを巡りながらアイルランドの音楽を聞かせてくれるのだ。歌本(!)などももらえ、「さぁ、皆さんご一緒に」という感じで、なかなか健康的なのである。
訪ね歩くパブは内装もさまざまで、見ているだけでも楽しい。それにしても、土曜の夜ということもあるのか、どのパブも満員で熱気があふれている。パブ・クロウルに参加している人達も思い思いにビールを注文したりして、リラックスした雰囲気。パブ巡りは19:00からはじまったが、22:00をまわりそうなのにまだ終る気配はない。明日は忙しいし、知らない都会の夜は不安なので、残念だが盛り上がっている中を一人抜け出して帰ることにする。

ダブリンの街はまだまだこれから!といった雰囲気で若者達も大勢出歩いている。一人で歩いていても案外平気のようだが、用心に越したことはない。あちこちのパブへ行ったので帰り道に迷い、バスは案の定終ってしまったので、タクシーに乗る。こわもてのドライバーなのでちょっと緊張。会話も弾まず、窓の外を見ると、とても美しい上弦の月が出ていた。

宿の近くでタクシーを降り、暗い道を歩いていくと(注:これは危ないことなので、よい子はマネしてはいけません。タクシーに乗ったら宿の前まで送ってもらうこと!)、ぱっと明りが点いた。22:30をまわっているというのにご主人が起きて待っていてくれたのだ。これには感激した。グレンダロッホにいけなかった事情を話すと、明日の朝タクシーを呼んでくれることになった。これでひと安心だ。

8月10日 日曜日
7:00まで寝るつもりだったが5:00に目が覚めた。空は晴れている。ゆうべは寝てしまったので朝荷づくりをする。2日ずつの滞在はけっこう面倒だということに気づいた。こんなにいい宿なんだから、4日連続でここに泊まればよかった。この宿では絵葉書を3枚奮発する。

呼んでくれたハイヤーは、気の良さそうな兄ちゃんがドライバー。ミセスが「しっかり送ってあげてね、彼女はSo Lovelyだから」と言うので、「ぐふふ、そんなにかわいいか?あたし」と気をよくする。しかし、後からわかったのだが、このラブリーという言葉は、英国圏ではかなり幅広い意味で使われる言葉だ。早い話が、クレジットカードのサインをしても「ラブリー!」と言われてしまうのだ。いまとなっては、どういう意味でラブリーと言われたのか、謎である。

お兄ちゃんは道中いろいろしゃべってくれたが、いかんせん早口でほとんど理解できない。「ごめんね、もう少しゆっくりしゃべってくれる?」というとしばらくの間ゆっくりになるのだが、すぐまた元に戻ってしまう。しかし、犬好きの、愛想のいい兄さんだった。感じが良かったのでチップを弾んでしまった。

集合時間よりだいぶ早くついたので、念のため今夜の宿に電話する。ツアーが終了するのが17:30頃なので、どう考えても18:00には宿に着けないのだ。連絡がつきちょっと肩の荷が降りた。あとはこの荷物を持ってツアーに行けるかどうか…。つくづく、心配性である。

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